日本で女性が働くということ
実は30代半ばで意を決して堂々と銀座のホステスに戻り、売上No1まで取れたのは、日本社会への怒りを通り越して何かがプツンと切れたことがきっかけだった。
日本で女性が働くことの「セクハラ、パワハラ、低賃金(日本企業の場合)、無意味な長時間労働」とあまりにも酷い3拍子どころか4拍子に、時には相手が雇用主の大手企業だろうが泣き寝入りはせずに訴えながらハラワタ煮えくり返る経験を経て虚しさというか、頭がおかしくなりそうだった。
「水商売=色(時には身体)を売ること」という世界だと思っていたら、実際水商売は働く人間にとってそういう場所になるし、そういうお客さんがついてきて、身を滅ぼして終わるだけだ。
だけど頭を使い、売上を作ることにより、どんなビジネスにも応用できる基本が詰まっている仕事だと思うし、普通のOLが稼ぐ以上のお給料を「正当な評価」として受け取る自信が持てるほど「頭を使った接客」が出来るかどうか、だと思う。
私のスタンスは、クラブと言えども「セクハラは許さない(まぁ高級クラブほどこういう人は居ません)」が、能力主義の部分については、働けば働く分だけお給料という形で戻ってくるのだから「お客様から嫌なことを言われた」「理不尽なことを言われた」などへ対する精神力は鍛えられ、それは一般社会でもかなり役に立ったことだと思う。
女の子同士のイザコザや悪口なんか、自分の本来の目的さえ忘れなければ、どうでも良くなり痛くも痒くもなくなる。
表立って「仲良しごっこ」をやっている群れほど絆は脆い。
目標をもって仕事をしていると、本当に見てくれている人は見てくれているのだ、と、ある時ふと思いもしない所で知らされて泣きそうになる。
ただ一般社会との大きな違いは「リターン=報酬」が自分が妥協できる範囲で戻ってきているか?ということだ。私は銀座のお給料だから我慢できたのだ。
今思えば、本当にその「吹っ切り」があったお陰で私は若くもないのに一瞬でもお店で1番の売上を作ることも出来たし、お客様には本当に恵まれフリーランスの仕事に繋がったり、依頼も倍になったりした。
今まで依頼を受けてきた仕事は日本での平均賃金に比べたらギャラも桁違いになるのだが、海外の同職から見たらそれでも私の手取りは低いほうだ。
そこでふと気づいたのだがあれほど嫌いだった水商売が、一番楽して稼げたのだがこれも「指名制」の仕事なのだ。
当たり前ながら売上が上がれば上がるほどお給料の桁も変わってくる。
一般社会、普通の会社で女性が普通の大卒(それすらも今は危うい?)で「本気で出世、高収入」を目指した先に何があるのか??
どんなに社会マスコミが綺麗ごとを謳って「男女平等」「輝ける女性」云々を立派に掲げたいたって、一つの会社の中で「普通の女性」が「本気」になったところで、集団心理に支配された教育で「嫉妬、嫌がらせ、セクハラ」(これは正直、上へ行けば行くほど日本国内に限った話じゃない)に負けない強靭な精神を持ち、早朝から深夜近くまでヘトヘトになりながら、働き得られる金額はいくらだろうか???
そんな疲れ切った環境の中で得られる「精神的満足」は一体どれほどのものだろうか??
今まで散々嫌っていた商売だが、一瞬でも1番の売上を立てた者として知ったのは「バカには絶対出来ない」ということだ。そして日本で「誰でも」女性がその気になればいくらでも稼げる世界の一つであるというのはあながち間違いではない。
銀座のクラブの最低労働時間は20時から24時(最近は25時もしくは26時がクラブでも一般的になっているみたい)。
私はそれよりさらに短い時間で時には一晩で一般OLの月収分を稼いでいた。
これは何も水商売奨励の意は微塵もなく、これが「日本の実態なのか」と嘆きたくもなる。
唯一、私が「万事塞翁が馬」と体験できたことが、この水商売に戻ったことかもしれない。
私が本当に我慢ならない「セクハラ、パワハラ、低賃金」の3拍子は、普通に日本の教育を受けて、日本の大学へ通い、日本で就職をして生きていたら当たり前すぎて気付かないのかもしれない。
だけど他の人の話や相談を聞くと、みんな思っているのに本音を言えない文化なのだと思う。
私は、昼でも夜でもとにかく色々な人から相談を受けていた。
アメリカの政治家とも一緒に雑誌の表紙を飾るほどの人でさえ、こっそり私にLINEで相談してくるのだから、かわいい笑。
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